優秀映画鑑賞会
優秀映画鑑賞会は、時代が変わろうとも色褪せることのない優れた日本の映画を、国立近代美術館フィルムセンターが所蔵する良質の35ミリ・フィルムで皆様にご鑑賞いただく企画上映です。
今回は、苛酷な境遇のなかで純粋な心を一途に守ろうとする若者たちの姿を、繊細なタッチで描き出した青春映画の代表作4本をご覧いただきます。すでにご覧になっている方から、初めてこれらの作品に出会われる方まで、何度観ても新たな発見と感動を呼ぶ、映画史に残る傑作をお楽しみください。
今年のみどころ
今年はひとりの監督特集ではなく、4人の監督の青春映画の傑作4本のプログラムです。
今井正監督の「純愛物語」、市川崑監督の「おとうと」、岡本喜八監督の「肉弾」、そして、11月28日、このチラシ完成前にお亡くなりになった斎藤耕一監督の「旅の重さ」です。
優秀映画鑑賞会のプログラムはフィルムセンターが提供するもので、4本セットのプログラムが22番組用意されていますが、全国の会場で、このプログラムを上映するのはここだけです。
タイミングよく山田洋次監督の最新作「おとうと」が、優秀映画鑑賞会の一週間後、1月30日から全国一斉公開されます。優秀映画鑑賞会で上映する市川崑の名作「おとうと」に続いてお楽しみいただければと思います。山田洋次の「おとうと」は水口アレックスシネマでも上映されます。
会期
2010年1月23日(土)・24日(日) 全2日間
会場
碧水ホール
〒528-0005 滋賀県甲賀市水口町水口5671
Tel. (0748)63-2006 Fax.(0748)63-0752
会場地図
Yahoo!地図情報で表示
Googleマップで表示
●アクセス
(1) JRびわこ線(東海道本線)草津駅で、JR草津線に乗り換え、貴生川(きぶかわ)駅で下車
(2) 貴生川駅で近江鉄道に乗り換え、水口城南駅(1駅目)で下車。徒歩1分
(改札を出たら右に進み、踏切を渡る)
→近江鉄道の時刻表
チケット
前売当日同額
1回券=500円 1回券3枚セット=1200円(複数人数での使用可)
前売当日同額/1回券1枚で1作品有効/各回入替制/全席自由
前売券の発売場所
- 碧水ホール
- あいの土山文化ホール
- 忍の里プララ
- かふか生涯学習館
- 信楽中央公民館
- 甲賀広域勤労者互助会
- アルプラザ水口 くらしのサービスセンター
主催・共催
主催:文化庁、東京国立近代美術館フィルムセンター、碧水ホール、甲賀シネマパーティー(甲賀映画祭実行委員会)
協力:(社)日本映画製作者連盟・全国興業環境衛生同業組合連合会・コミュニティシネマセンター
プログラム
○1月23日(土)
10:30−12:08 おとうと
13:00−15:10 純愛物語
15:30−17:26 肉弾
○1月24日(日)
10:30−12:26 肉弾
13:00−14:38 おとうと
15:00−16:31 旅の重さ
上映作品
【作品データ】
1960年/大映[東京]/カラー/シネマスコープ/98分
監督:市川崑(1915-2008) 原作:幸田文 脚本:水木洋子 製作:永田雅一 撮影:宮川一夫 音楽:芥川也寸志
出演:岸恵子、川口浩、田中絹代、森雅之、友田輝、岸田今日子
温かみの欠けた家庭にあって、姉と病床の弟とが寄せ合う深い愛情の交歓をきめ細かに描いた幸田文の小説を映画化。文学作品の映画化は市川崑監督のキャリアの中でも重要な位置を占め、すでに『ビルマの竪琴』(1956)、『日本橋』(1956)、『鍵』(1959)、『野火』(1959)などの名作を放ち、その実験精神を発揮していた。また技術面の冒険にも積極的な市川監督は、日本映画を代表するカメラマン宮川一夫の協力のもと、「銀残し」という特殊な技術を導入した。姉弟を岸恵子と川口浩が好演し、「キネマ旬報」ベストテンでは2位に空前の大差をつけて第1位を獲得した。
なお、半世紀後にあたる2010年新春に公開される山田洋次監督の最新作『おとうと』は、本作にオマージュを捧げている。
※銀残し…画像に銀が残る独特の画調で、『おとうと』で初めて実用化されたこの手法は、『セブン』『プライベート・ライアン』『フラガール』など、現在も使われている。
【作品データ】
1972年/松竹/カラー/シネマスコープ/91分
監督:斎藤耕一(1929-2009) 原作:素九鬼子 脚本:石森史郎 製作:上村務 撮影:坂本典隆
音楽:よしだたくろう 主題歌:『今日までそして明日から』
出演:高橋洋子、岸田今日子、高橋悦史、三国連太郎、秋吉久美子
「大地の子守歌」などで知られる覆面作家素九鬼子の原作を、『約束』(1972)などの青春映画で知られる斎藤耕一監督が映画化。斎藤監督は撮影現場のスチル・カメラマン出身ということもあり、構図感覚を活かした画面作りが印象的である。
物語は、男癖の悪い母親を置いて家出し、四国遍路の旅に出た少女が経験する数々の出来事を描いており、少女が大人へと成長してゆく精神的な過程を表現している。ヒロインに応募して選ばれ、初々しい演技でデビューを飾ったのは当時19歳の高橋洋子。また、作品の世界に呼応する形で、フォーク音楽の寵児よしだたくろう(吉田拓郎) が、叙情的な旋律と主題歌を提供している。「キネマ旬報」ベストテン第4位。
【作品データ】
1957年東映[東京]/カラー/シネマスコープ/130分
監督:今井正(1912-1991) 脚本:水木洋子 製作:大川博 撮影:中尾駿一郎
出演:江原真二郎、中原ひとみ、岡田英次、木村功、東野英治郎、長岡輝子
前作『米』(1957)の好成績を得て、製作会社の東映が再び今井正監督と組んで作り上げた戦後の青春映画の代表作。1954年3月に第五福竜丸がビキニ環礁で死の灰を浴び、この頃日本では改めて原水爆問題がクロース・アップされていた。脚本の水木洋子によれば、この作品は同じ今井監督の『また逢う日まで』(1950)の姉妹篇として「戦後と青春」を描こうとするものであった。焼け跡の中を懸命に生きる不良少年と少女の純愛物語に、原爆後遺症の問題が絡んでくるのも、このような社会的背景を抜きにしては考えられまい。常に周りの状況に押しつぶされそうになりながら、必死の抵抗を続ける恋人たちの姿は、今井監督の作品に一貫する重要なモチーフである。「キネマ旬報」ベストテン第2位。
【作品データ】
1968年/『肉弾』を作る会=ATG/白黒/スタンダード/116分
脚本・監督:岡本喜八(1924-2005) 製作:馬場和夫 撮影・照明:村井博 音楽:佐藤勝 漫画:辻まこと
出演:寺田農、大谷直子、伊藤雄之助、小沢昭一、田中邦衛、笠智衆、北林谷栄、天本英世 ナレーター:仲代達矢
日本が戦争に敗れたことも知らず、魚雷をしばりつけたドラム缶の中で、海に漂いながら敵船を待っている「あいつ」。
東宝所属の監督としてスピーディな現代活劇や喜劇に力を発揮していた岡本喜八監督が、あえて東宝を離れてアート・シアター・ギルド(ATG)製作で撮影した。当時 ATGは低予算のいわゆる「1000万円映画」の製作を提唱し、多くの監督が大手会社の撮影所では撮れない自前の企画を次々と映画化したが、中でもこの作品は資金的な制約にもかかわらず「キネマ旬報」ベストテン第2位など好評を得た。映画に描かれた「あいつ」の人物像や軍隊生活の愚かさは、戦争中の岡本監督自身の体験に基づくものと言われ、活劇派の監督の背景となるもう一つの出自を明らかにした。